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田舎を目指して - Laos vol.2 -

  • Ryusuke Nomura
  • 2011年3月18日
  • 読了時間: 4分

ラオスの首都ビエンチャンを満喫した僕は、バスで約三時間、バンビエンという田舎町を目指した。首都のビエンチャンでさえこんなにのんびりしているのだから、他の町はさぞかし田舎なのだろう。東京生まれ東京育ちで、田舎という言葉に憧れを感じる僕は、そんな期待を胸に抱きながら車中を過ごした。窓から流れる景色を見ていると、見渡す限りの山、山、山。ラオスは山が非常に多い国だ。時折見かける民家の軒先には、ラオスの国旗と旧ソ連の国旗のような赤い旗がなびいていて、ラオスは社会主義国であることを思い出す。もっとも、僕が想像していた社会主義の殺伐とした印象は、ほとんど感じなかったけれど。

そんなことを考えながら、ひたすらに田舎道をゆくバスに揺られていた。しかし、バスに乗ってもうすぐ3時間経つという所で、ある異変に気が付いた。まったく到着する気配がないのだ。まだかまだかと思っているうちに1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、バンビエンに到着したのは、ビエンチャンを出発してからおよそ5時間後のことだった。乗客は誰も文句なんて言わないし、時間が遅れるなんていうことは当たり前なのだろう。最初は違和感を覚えたこの交通機関の遅れも、旅を続けていくうちに段々と気にならなくなっていった。日本の交通機関が時間に正確なのは、そうしないと人々の生活に支障をきたすからだ。東南アジアの国々の交通機関が時間にルーズなのは、それでも人々の生活に支障をきたすことが少ないからだろう。バンコクのような大都市は例外としても、その他の多くの町では人々はのんびりと生活している。特にここラオスでは、なおさらその傾向が強い。どこかで聞いた話では、あるタイ人がラオスに行った時に、ラオス人のあまりのマイペースぶりに激怒したらしい。それは、決してタイ人がせかせかした生活を送っているわけではなく、むしろ日本人に比べると、彼らは結構のんびりしていると思う。なんといっても、タイ人は「微笑みの国」の住人だ。そんなタイ人から「微笑み」を奪いさり、逆に激怒させてしまったラオス人のマイペースぶりに、僕はここバンビエンで何度も遭遇することになる。

その話はまた後ほどということで、やっと着いたバンビエンの町は、僕の期待を少し裏切った。この町は、とてつもなく田舎であることは間違いない。しかし、同時にとてつもなく観光地でもあった。町の周りには、中国の仙人が住んでいそうな切り立った山々が連なり、その麓には大きな川が流れている。それだけでも十分素敵なロケーションだ。しかし、ラオスは欧米人にはポピュラーな観光地らしく、特にここバンビエンは特に人気が高いため、町には欧米人向けのカフェやバー、ディスコなどが立ち並ぶ。美しい自然と相まって、かなりアンバランスな光景だ。夜になると、野外ディスコから大音量のポップミュージックが流れ出す。どうして欧米人は、いつでもどこでも騒ぐのが好きなのだろう。そこに美しい自然があれば、それだけで十分満たされるはずなのに。日本人は、旅先で非日常を求める。しかし、欧米人は、旅先でもできるだけ日常を維持しようとする。もしかすると、そんな傾向があるのではないかと、この野外ディスコやバンビエンの町並みを見て思った。

そんなだから、当初この町に滞在するのは、2日間位でいいだろうと考えていた。バンビエンの第一印象があまり良くなかったのと、ラオスにビザなしで滞在できるのは2週間なので、その間にできるだけ多くの場所に行きたかったのだ。しかし、旅も人生と一緒で、計画通りに進むことはほとんどない。バンビエンには、一目見ただけでは気付かない魅力が詰まっていた。第一印象が悪い人ほど、一度仲良くなってしまえば付き合いが長くなる。僕にとって、バンビエンはそんな町だった。当然それにはいくつか理由があるが、それはまた次回ということで。地球の歩き方には半ページしか紹介されていないこの町に、結果的に11日間も滞在してしまったのだから、計画ほど曖昧なものはない。

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