

白と水色の国 - Argentina - Vol.1
ボリビア側の国境を抜けて、僕を乗せたバスは、ひたすらに真っすぐ伸びる国道を突き進む。両脇を囲む大草原の片隅に、風になびく白と水色の国旗が、小さく、しかしはっきりと視界に飛び込んできた。「ああ、とうとう、この国に来た」僕は、アルゼンチンに来た。そう、僕は白と水色の国にやって来...


白い湖 - Bolivia vol.2 -
ラ・パスの長距離バスターミナルは、標高の高い町の、さらに小高い丘の上にある。ペルーと同じくバス文化の発達しているこの国では、首都であるラ・パスを起点にして、地方都市や近隣諸国へ運行しているバス会社が、日々凌ぎを削っている。それを象徴するかのように、小高い丘の上のバスターミナ...


雲の上の町
それは、とても美しい光景だった。雲の隙間から、放射状の光が。何本も湖に降り注いでいる。湖は、その光の束をまるで鏡のように反射させて、煌びやかな空間を目の前に創り出す。ペルーとボリビアの国境を跨ぐ、どこにでもありそうなその湖は、まるで魔法をかけたように、僕の足を立ち止まらせ...


tranquilo - Peru vol.6 -
クスコに戻ってきた。この町には、旅行者の求める全てがあると言っても過言ではない思う。安宿から高級ホテルまで、それぞれの懐事情によって選べる無数の宿。レストランは、ペルー料理を出す店から、洋食、日本食、果てはイスラエル料理店なるものまで幅広く、インカ帝国時代とスペイン植民地時...


to Machu Picchu - Peru vol.5 -
宿まで案内してくれた親子と、一晩だけ同室だったフランス人に別れを告げて、僕は、まだ1日の始まりを迎えて間もない、静かな町の石畳を、ゆっくりと、だけれど、しっかり歩き始めた。 クスコでは、久しぶりに日本人宿に泊まろうと考えていた。クスコやマチュピチュはもちろん、何より、これか...


Cusco - Peru vol.4 -
まるで、映画のワンシーンのような風景が、窓ガラスを一枚隔てた向こう側に広がっていた。アンデスのこれでもかというくらい蒼い空と、赤茶けて老いた拳のようにゴツゴツとした山々。山道の砂利道を、どこから来たのか、色彩豊かな民族衣装を身に纏ったインディヘナが、ゆっくりと荷物を抱えて歩...


Lima - Peru vol.3 -
ペルーでの長距離バスの旅は、今まで通過してきた国々と比べて、非常に快適なものだった。まず、一席一席のシートが広く、足を十分に広げられるスペースがある。バスの中には、揃いの制服を着た女性の添乗員が数名いて、出発してすぐに乗客へ飲み物を配ったり、そして何より驚いたのは、約10数...


渇いた町とインカコーラ - Peru vol.2 -
そこは、乾いた町だった。舗装の行き届いていない車道を車が通るたびに、乾燥した砂埃が宙を舞って、黄色い太陽が空気中の潤いを奪っていく。 名前も覚えていないその小さな町は、僕がペルーに入国して、最初に滞在した場所だった。この町が、乾燥した雰囲気を持っているのには、その気候以外に...


国境線 - Peru vol.1 -
プエルト・ロペスで、最高の「休息」を終えた僕は、一度グアヤキルに戻り、そろそろ国境を越える時期かなと考え始めた。一路、南へ進路をとれば、次の国はペルーということになる。 そろそろ次の国へと考えたのは、プエルト・ロペスでの約一週間の滞在が、僕に大きな充実感と前へ進む気力を与え...


プエルト・ロペス2 - Ecuador vol.3 -
海辺を歩くと、乾いた潮風が体中にまとわり付く。西の海に深紅の夕日がゆっくりと飲み込まれて、今日もまた、何もない1日が終わっていく。 太平洋沿いにあるこの町はとても小さくて、漁村か、あるいは港町という表現の方が適切かもしれない。それでも、近年はそれなりに観光客が訪れているよう...