

丸いテーブル - Side Story vol.4 -
— 昔から、ずっと疑問に思っていることがあった。ちょっと高い中華料理の店に行くと、必ずと言っていいほどある、円形のクルクルと回るテーブル。あのテーブルは、何故あんなにも丸みを帯びているのか — 進路は、南にしかなかった。台北という地名が示す通り、この街は米粒のような形をした...


近くて遠い場所 - Side Story vol.3 -
台湾に行こうと思ったのは、以前仕事で知り合った台湾人から、台湾人は日本人に対して友好的で、こと女性に関しては美人が多いと聞いたからだ。勤めていた会社が倒産して、たくさんの時間と少しばかりのお金を得た僕は、インターネットで台北行きのLCCチケットを買った。確か、往復で2万円強...


2012 Football in singapore - Side Story vol.2 -
シンガポールと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはマーライオン。加えて最近では、マリーナベイサンズ(大きな船の乗ったホテル)やUSJなんかがやたらクローズアップされているけれど、一歩、観光の中心地を離れれば、多種多様な民族がそれぞれのコミュニティを形成している面白い国だ。...


東洋の真珠 - Side Story vol.1 -
その日もマニラはひどい暑さだった。灼熱の太陽の放つ熱光線がアスファルトに反射して、そこら中に熱気が充満している。それが、クラクションとジープニーから吐き出される排気ガスと混ざり合うのだから、ひとたまりもない。少し外を歩いただけで身体中から汗が噴き出し、行き交う人の多さと、...


プエルト・ロペス1 - Ecuador vol.2 -
エクアドルで最も印象に残っている町はどこかと問われたら、それは「プエルト・ロペス」ということになるだろう。首都であるキトを抑え、エクアドル最大の都市とされているグアヤキルからバスで約3時間。太平洋に面した小さな町だ。キトからバーニョスへ行き、そこからさらに南下してグアヤキル...


朝もやと新しい国 - Ecuador vol.1 -
エクアドルまでの道すがら、途中でバスを二回乗り換えた。メデジンからエクアドルの国境へ行くには、山をいくつも越えなくてはならないらしく、曲がりくねった山道を、バスは猛スピードで駆け抜ける。カーブに刺しかかる度、僕の体は振り子のように左右に揺れて、途中で何度も気分が悪くなった。...


ここはメデジン - Columbia vol.2 -
メデジンで強く感じたのは、人々の陽気で人懐っこい気質だ。それは、今まで訪れた国の中でも群を抜いていた。コバヤシさん、ナカムラさんと市内を歩いていると、かなりの割合で通行人に声をかけられる。 「どこから来たのか? 何をしているのだ?」...


メトロカブレ - Columbia vol.1 -
昼下がりの優しくて穏やかな、聖母のような陽光を浴びながら、バスは小高い山の中腹から、徐々に高度を下げていく。時折見える赤茶けたメデジンの街並みが、だんだんと大きくなるにつれて、期待と不安が同じ量ずつ増えていく。それでも、不安よりも期待がほんの少しだけ上回っていたであろうこと...


南米 - Panama-Columbia vol.1 -
パナマからコロンビア間の移動は、飛行機を使うことになった。パナマとコロンビア、つまり中米と南米の間は、ちょうど砂時計の中心部のように細くなっていて、一応は陸続きで繋がっている。しかし、そこは密林に覆われたジャングルで、政府の支配の及ばない地域になっていて、非合法な地域らしい...


パナマシティ見聞録 - Panama vol.1 -
うだるような暑さに耐えかねて、ベッドの脇に備え付けられた扇風機にスイッチを入れる。埃にまみれたカバーの隙間から、生温い風が勢いよく吹き付けてきた。パナマシティの安宿、そのドミトリールームに僕はいた。 一日がかりで国境を越えた僕は、深夜バスで一気にパナマシティまで駆け抜けて来...