

パナマシティ見聞録 - Panama vol.1 -
うだるような暑さに耐えかねて、ベッドの脇に備え付けられた扇風機にスイッチを入れる。埃にまみれたカバーの隙間から、生温い風が勢いよく吹き付けてきた。パナマシティの安宿、そのドミトリールームに僕はいた。 一日がかりで国境を越えた僕は、深夜バスで一気にパナマシティまで駆け抜けて来...


旅をしている - Costa Rica vol.3 -
その日の朝は、まるで夕方のようだった。灰色の雲が空を覆い、その隙間からは、糸のように細い小雨がパラパラと落ちてきて、プールに吸い込まれていく。その光景を見ながら、寝起きの僕は、しばし考え込んだ。本当ならば、今日、パナマへ向けて出発しようと考えていたのだけど、その考えを改めざ...


見えるもの 見えないもの - Costa Rica vol.2 -
サンホセから南へ。パナマを目指す道すがら、「マヌエル・アントニオ」という場所まで、バスで移動した。サンホセの長距離バスターミナルは、なぜだか、通称「コカ・コーラ・ターミナル」と呼ばれている。市内の中心部に位置しているものの、商店街のあるメインストリートのように理路整然として...


Maybe yes, Maybe no. - Costa Rica vol.1 -
中米の旅も、いよいよコスタリカ、パナマの残り二カ国となった。マナグアから、TICAバスで一気にコスタリカを目指し南下する。「一人旅をする者は、北へ北へと向かって行く。それが何故だかは分からないけれど、そういう風に人間の体はできているらしい。」と、昔誰かに聞いたのを思い出した...


サンペドロ・スーラの危険な夜 - Honduras vol.1 -
ニカラグアに行く前、僕は数日間をホンジュラスで過ごした。その時に経験した、何気ない一夜の体験を書こうと思う。「ホンジュラスには、格安でスキューバダイビングの免許を取得できる、ウティラ島という島がある」アンティグアの日本人宿で同室だった大学生に誘われて、僕はホンジュラスに向か...


革命の匂い2 - Nicaragua vol.2 -
短い滞在予定の中、わざわざマナグアからレオンへ行ったのは、この街がサンディニスタ革命において、重要な意味合いを持っていたからだ。革命の首都――しばしば、レオンはこのような呼び名で呼ばれている。革命当時から現在に至るまで、サンディニスタ解放戦線(FSLN)の本拠地になっており...


革命の匂い - Nicaragua vol.1 -
ニカラグアと聞いて、その国がどこにあるのか、どんな国なのかを正確に答えられる人は稀だろう。僕も旅に出るまで、名前は何となく知っていたが、正確な場所も、ましてやどんな歴史を持った国なのかなど知る由もなかった。貧困国の多い中米地域にあって、「最も貧しく危険な国」そんな不名誉な称...


プリーズ、プリーズ! - Guatemala return vol.1 -
僕は、再びグアテマラに戻ってきた。オレンジウォークからグアテマラシティを経由して、一路、スペイン植民地時代の古い町並が残る古都・アンティグアへ。 グアテマラシティのバスターミナルはいくつかあり、ベリーズ国境からのバスが到着したターミナルと、アンティグア行きのバスが発車してい...


ブレない人々 - Belize vol.2 -
次に行く場所を考える際に、その要素に土地の名前を取り入れたのは、後にも先にもこの時だけだった。ベリーズ北部の町「オレンジウォーク」これほど分かりやすく、かつインパクトのある地名を、僕は他に知らない。ガイドブックでこの地名を知った時から、是非とも行ってみたいと思っていた。さす...


しばしの休息 - Belize vol.1 -
朝もやの残るベリーズ側の国境で、僕は呆然と立ち尽くしていた。グアテマラからベリーズに入国する際、日本人にはビザが必要だが、それを日本のベリーズ大使館で取得していなかった僕は、国境でビザを取得するはめになった。それが可能なことは、フローレスからベリーズの首都・ベリーズシティに...