

渇いた町とインカコーラ - Peru vol.2 -
そこは、乾いた町だった。舗装の行き届いていない車道を車が通るたびに、乾燥した砂埃が宙を舞って、黄色い太陽が空気中の潤いを奪っていく。 名前も覚えていないその小さな町は、僕がペルーに入国して、最初に滞在した場所だった。この町が、乾燥した雰囲気を持っているのには、その気候以外に...


国境線 - Peru vol.1 -
プエルト・ロペスで、最高の「休息」を終えた僕は、一度グアヤキルに戻り、そろそろ国境を越える時期かなと考え始めた。一路、南へ進路をとれば、次の国はペルーということになる。 そろそろ次の国へと考えたのは、プエルト・ロペスでの約一週間の滞在が、僕に大きな充実感と前へ進む気力を与え...


プエルト・ロペス2 - Ecuador vol.3 -
海辺を歩くと、乾いた潮風が体中にまとわり付く。西の海に深紅の夕日がゆっくりと飲み込まれて、今日もまた、何もない1日が終わっていく。 太平洋沿いにあるこの町はとても小さくて、漁村か、あるいは港町という表現の方が適切かもしれない。それでも、近年はそれなりに観光客が訪れているよう...


丸いテーブル - Side Story vol.4 -
— 昔から、ずっと疑問に思っていることがあった。ちょっと高い中華料理の店に行くと、必ずと言っていいほどある、円形のクルクルと回るテーブル。あのテーブルは、何故あんなにも丸みを帯びているのか — 進路は、南にしかなかった。台北という地名が示す通り、この街は米粒のような形をした...


近くて遠い場所 - Side Story vol.3 -
台湾に行こうと思ったのは、以前仕事で知り合った台湾人から、台湾人は日本人に対して友好的で、こと女性に関しては美人が多いと聞いたからだ。勤めていた会社が倒産して、たくさんの時間と少しばかりのお金を得た僕は、インターネットで台北行きのLCCチケットを買った。確か、往復で2万円強...


2012 Football in singapore - Side Story vol.2 -
シンガポールと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはマーライオン。加えて最近では、マリーナベイサンズ(大きな船の乗ったホテル)やUSJなんかがやたらクローズアップされているけれど、一歩、観光の中心地を離れれば、多種多様な民族がそれぞれのコミュニティを形成している面白い国だ。...


酒は最終兵器 - drunker drunker - vol.6 -
お酒って不思議な飲み物だと思う。国や地域によって文化や生活習慣は違うけれど、どこにでもアルコールを含んだ飲料があって、人々はそれを常飲している。宗教的に飲酒が禁止されているイスラム圏の国々にさえ、闇ではアルコール類を提供する店があるらしい。...


東洋の真珠 - Side Story vol.1 -
その日もマニラはひどい暑さだった。灼熱の太陽の放つ熱光線がアスファルトに反射して、そこら中に熱気が充満している。それが、クラクションとジープニーから吐き出される排気ガスと混ざり合うのだから、ひとたまりもない。少し外を歩いただけで身体中から汗が噴き出し、行き交う人の多さと、...


プエルト・ロペス1 - Ecuador vol.2 -
エクアドルで最も印象に残っている町はどこかと問われたら、それは「プエルト・ロペス」ということになるだろう。首都であるキトを抑え、エクアドル最大の都市とされているグアヤキルからバスで約3時間。太平洋に面した小さな町だ。キトからバーニョスへ行き、そこからさらに南下してグアヤキル...


朝もやと新しい国 - Ecuador vol.1 -
エクアドルまでの道すがら、途中でバスを二回乗り換えた。メデジンからエクアドルの国境へ行くには、山をいくつも越えなくてはならないらしく、曲がりくねった山道を、バスは猛スピードで駆け抜ける。カーブに刺しかかる度、僕の体は振り子のように左右に揺れて、途中で何度も気分が悪くなった。...